2016年01月01日

珍解説/後藤忠徳、CO2増加は人為的か自然変動か?

【珍解説者】
 後藤忠徳/MANTA、@manta33blog
【記事】
(類似の珍解説)
 ○綾波シンジ/環境問題補完計画
  ・主観(妄想)を正しいと信じる「海洋起源CO2増加説」
(参考)
 ○人為温暖化「言説」批評:後藤忠徳氏(1)ブログ/CO2増加は
  人為的か自然変動か?togetter
 ○菊池誠/kikulog、@kikumaco
  ・「地球温暖化懐疑論批判」 2009/10/28: fdcb2100
  ・「地球温暖化懐疑論批判」(2) 2010/4/3: fdcb2100つぶや
  ・地球温暖化問題つづき 2010/12/12: つぶや

【ポイント】
○「つまり「大気中のCO2の増加は、人為的なCO2排出と密接な関係がある」といえる」は、全く「つまり」になっていない

人為的なCO2排出量が「少なめの年」の、しかも一部しか合っているように見えない年のチェリーピッキングだけで、 あたかも全体が合っているかのように匂わせる。
他の合っていない「少なめの年」に加え、「多めの年」、「どちらでもない年」はどうなのか、読者に全体判断させぬまま話を切る。
個別に彼がチェリーピッキングしている期間を見てみても、下記のように自然要因の方が遥かに良く符合している。
1974-75年太陽黒点11年周期底打ち、気温低下
1980-83年: 
82年エルチチョン火山噴火による気温低下、その前後の年のCO2濃度上昇は別段小さくない
1992-93年91年ピナツボ火山噴火による気温低下
1998-99年: 
98年はエルニーニョで気温もCO2濃度上昇も史上最高、翌年はその反動で気温・濃度上昇ともに大きく低下
2009年: 
これは2008年の間違いで、08年は太陽黒点11年周期底打ち、気温低下
これらに加え、彼はなぜかCO2濃度上昇が最も小さい1964年を含めていないが、この年も太陽11年周期が底打ちし、気温も低下。

○恣意的な「中略」により、引用元の本来の文意を歪める
−引用のされ方−
・「大気・海洋環境観測報告 第7号 2005年観測成果
 2.温室効果ガス > 2.1 二酸化炭素
 (図 2.1.4 の解説文より引用)
”二酸化炭素を主体とする炭素循環は定量的に全て把握されているわけではない。
 (中略)
 人間活動により排出された二酸化炭素が、そのまま大気中の濃度増加には反映されていないことがわかる。
 (中略)
 排出された二酸化炭素が海洋や森林・土壌に吸収・蓄積され続けているとともに、その吸収・蓄積量が年によって変わることを意味している”

−引用元の段落全文(赤字が特に問題の「中略」部分)−
人間活動による排出量と実際の大気二酸化炭素の濃度変動
二酸化炭素を主体とする炭素循環は定量的に全て把握されているわけではない。図2.1.4は、石油などの化石燃料の消費による二酸化炭素排出量から計算した濃度増加率と、観測から得られた実際の全球の濃度増加率の経年変動を示したものである。人間活動により排出された二酸化炭素が、そのまま大気中の濃度増加には反映されていないことがわかる。
実際の濃度増加は、排出量による濃度増加より少なくなっている上に、人為起源による二酸化炭素排出量は年によってそれほど大きな変動はないのに、観測された濃度増加率は大きく変動している。実際の濃度増加が排出量から想定される濃度増加より少ないことは、
排出された二酸化炭素が海洋や森林・土壌に吸収・蓄積され続けているとともに、その吸収・蓄積量が年によって変わることを意味している。その二酸化炭素の吸収量は、気温や海水温、気象条件などによって変わるため、どこにどれだけ吸収されているのか正確に見積もることは大変難しい。地球全体における炭素循環の定量的把握が今後の課題となっている。
2_1_4.png
図2.1.4 人為起源による排出量から想定される二酸化炭素濃度増加率(緑線)と実際の観測による大気中二酸化炭素濃度増加率(赤棒)の経年変動。排出量は国連のエネルギー統計をもとにCDIAC(米国二酸化炭素情報解析センター)が二酸化炭素放出量に換算したもの。観測による濃度増加率はWDCGGの解析による。(英語略)
−引用元終わり−

なお、この気象庁の解説ページには、人為CO2排出量と自然のCO2排出・吸収量との規模感の大きな違いを確認できる下記のような図も掲載されている。
2_1_3.png
図2.1.3 毎年の炭素換算の全球での二酸化炭素放出量(Emission)と吸収量(Absorption)とその内訳(平均値)。内訳は、セメント生産と化石燃料(Fossil fuels and cement production)、海洋との交換(Exchange from or to ocean)、土地利用の変化(Changing land-use)、全球の正味の基礎生産と呼吸(Global net primary production and respiration)からなる。これらは炭素循環の大気に関連する部分である。単位はGtC(1GtCは炭素換算で10億トン)。しかし、その値はまだ不確定さが大きいとされている(IPCC 1995をもとに作成)

○前項の「歪曲」的な引用に基づき、本来の論旨を「転倒」させる
引用元の段落では吸収の話しかしていないが、それでも、
「海洋や森林・土壌に吸収・蓄積され続けているとともに、その吸収・蓄積量が年によって変わる」
「吸収量は、気温や海水温、気象条件などによって変わる」
と言っている。つまり、複雑なのは自然の要素のほうなのである。
しかも、こうした複雑さは人為的なCO2排出がもたらしたものではなく、自然が元から持っている変動の特性に過ぎない。
にもかかわらず、
「大気中のCO2濃度は人為的なCO2排出量の影響を色濃くうけるが、その影響が複雑で、簡単に記述できないだけである。(複雑=無関係とはいえない)。」
などと、あたかも「人為的なCO2排出量の影響が」複雑であるかのように言うのは全くの曲解

○異論者の大勢として「言っていないこと」まで混ぜ込み、その上で筋違いの解釈をする
記事の末尾付近で、
 「(人為的なCO2排出量は)無関係と決めつけるのは理が通らない」
などと言っているが、人為的CO2が排出されているのは厳然たる事実であり、「無関係と決めつける」者など一体どれだけいるのか。
異論者が言っていることの要点は、
 「人為より自然によるCO2の排出・吸収量の方が遥かに大きく、しかも変動してもいるのだから、大気中CO2濃度も自然変動の影響を大きく受ける
ということである。


【追記】
後藤忠徳/MANTA氏による珍解説記事のコメント欄に下記の反論が掲載。適宜寸評しておく。

MANTA
本記事を批判するトラックバックをichijinさんから頂きました。/ichijin.seesaa.net/article/391167724.html
以下のようにお返事いたします(『』は上記ページより引用)。
・「大気中のCO2の増加は、人為的なCO2排出と密接な関係がある」とは言えないとのご批判ですが、上記記事では「その影響が複雑で、簡単に記述できない」とすでに記述済みです。では具体的な様相はどうか? については下記にまとめました。
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-24
←「珍解説」をただ列挙しているだけ。また、こちらは「「大気中のCO2の増加は、人為的なCO2排出と密接な関係がある」とは言えない」との批判はしていない。人為的なCO2排出「も」もちろん、大気中のCO2の増加に関係している。ただしそれは、自然の排出分と合わせた全てのCO2排出源に占める割合(約3%)だけ、ということ。
・『実際の濃度増加は、排出量による濃度増加より少なくなっている上に、人為起源による二酸化炭素排出量は年によってそれほど大きな変動はない』とのご指摘ですが、それこそが自然のなせる技です。その具体的記述は上記の拙ブログの通りであり、「複雑だから分からない」と批判するならばそれは稚拙と言えるでしょう。
←相変わらず曲解・勘違い、というより日本語の読解力の問題? 
 まず、元の文から『実際の濃度増加は、排出量による濃度増加より少なくなっている上に、人為起源による二酸化炭素排出量は年によってそれほど大きな変動はない』という珍妙な切り取り方をして、「それこそが自然のなせる技」などと言うこと自体が間違い。元の文から読み取るべき「自然のなせる技」とは、『実際の濃度増加は、排出量による濃度増加より少なくなっている上に、・・観測された濃度増加率は大きく変動との部分。
 したがって、こちらが何を批判しているかについても間違えている。「複雑だから分からない」ではなく、「複雑なのは自然のほうであり、人為ではない」と言っているのである。
・貴ブログでは『人為CO2排出量と自然のCO2排出・吸収量との規模感の大きな違い』を示す図として、棒グラフを紹介されていますが、引用元ではその大部分は、i)海洋との交換(Exchange from or to ocean)及び、ii)全球の正味の基礎生産と呼吸(Global net primary production and respiration)と記載されており、これらはCO2濃度上昇には直接は寄与しません。貴殿の引用サイトでも次のように書かれています。
 http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/cdrom/report2005/html/2_1_0_1.htm
 "現在は、人為起源を含めた放出量のわずかな超過分が毎年大気中に蓄積されて濃度を増加させ続けている"
←日本語に加え、グラフの読解力もない?
 排出側に「i)海洋との交換」「ii)全球の正味の基礎生産と呼吸」が人為分とともにあって初めて、吸収側を上回れるのであり、そうした自然排出分もCO2濃度上昇に直接寄与しているということ。
 引用サイトのほうも正に「人為起源を含めた放出量」と書かれているのだから、これは「人為分+自然分」なのであり、この「合計された放出量」から吸収量を差し引いた結果が「わずかな超過分」となるのである。
・明確に書かれた内容を伏せつつ、自身の主張に都合よい部分のみの引用は科学の世界で最も嫌われる行為の一つであることを知っておきましょう。
←これは全く反対で、「明確に書かれた内容を伏せつつ、自身の主張に都合よい部分のみの引用」をしているのは後藤忠徳氏のほう。それに対して、「明確に書かれた内容を伏せ」ずに示した上で論評しているのがこちらの記事である。
 後藤氏は今回の反論でも上記の通り、文章の珍妙な引用をまた披露してしまっている。
by MANTA (2014-06-28 22:06) 

−蛇足−
本記事は後藤忠徳氏の該当記事にトラックバックされたが、先方は削除したようなので以下のようにコメント。そしてそれに対する後藤忠徳氏の対応。
(コメント先)
(コメント)
conAGW
温暖化記事に対するトラックバックが「適宜削除」ではなく、単純に「全て」削除されたようなので、こちらに挙げる形を取る。
・珍解説/後藤忠徳、CO2増加は人為的か自然変動か?
※このコメントも勿論、そちらが
「このコメントがお気に召さないようでしたら、削除いただいても一向に構いません」
と言っているものに当たるので自由にどうぞ。 
by conAGW (2014-03-18 09:41)

MANTA
conAGWさんのコメントをスパムとみなし、ご本人のご希望通り削除いたしました。
ご了承下さい。 
by MANTA (2014-03-18 12:41) 

conAGW ※後藤忠徳氏は受付拒否で下記は読めず。
ここでは消えてももちろん結構。
「そちらの」希望には何ら制約がないし、そちらのそうした「行ない」自体も含めて消えずに別途、残されてもいくので。
>conAGWさんのコメントをスパムとみなし、ご本人のご希望通り削除いたしました。ご了承下さい。 by MANTA (2014-03-18 12:41) 

( MANTA
※後藤忠徳氏が得意とする印象操作。しかも相手をブロックしてからの掲載。
conAGWさんからコメントを頂きました。
同氏のブログにおける、上記への反論ページの紹介でしたが
・反論に資するソースが一つも示されていないこと
・当ブログでの本論を理解することなく反論しようとしており、科学的議論のキャッチボールがまったくできていないこと
・私を含む多数の研究者・ブロガーさんたちへの人格的な批判など他人を貶める発言を繰り返していること
の3点を鑑みて、やむを得ず削除いたしました。
また同氏のコメントをこれまでみておりましたが、上記3点は多くのコメントに共通しており、・同氏の主義・主張も明確には示されておりません。
以上を勘案し、当ブログでは当面の間、同氏のコメント・トラックバックを受け付けない設定といたします。このようなコメントを寄せてくる人物は8年を越える当ブログには見当たらず、苦渋の決断となった次第です。
科学的な議論でヒートアップするなら健全ですが、論拠もない悪口のオンパレードは見るに絶えません。
科学とはそういことではないと考えます。 
by MANTA (2014-03-18 14:32)  
※内容で返せないとなると凡そこうしたことしか言えなくなるという、お定まりと言っても良いようなコメント。この様子では次の記事でも、こちらの指摘を何ら呑み込めていない内容になりそうな気配。 
 →残念ながら懸念したとおりの記事が掲載。それに対する当方の批評はこちら

また、要望を受けて改めてトラックバックをしたにもかかわらず、下記のコメントが掲載。対応の仕方が頓珍漢な上、相変わらず内容ゼロ
※トラックバックが多数届きましたので承認しましたが、当記事を適正にご紹介頂いているようには到底思われません。特に反論に資する資料が皆無です。先方からのコメントを待ち、ご批判の意図を伺いたいと思いますが、不適切な引用記事を紹介し続ける必要はありませんので、コメントが届かない場合はトラックバックを削除します。どうぞよろしくお願いいたします。(なお本コメントは管理用メモですので、後日削除します) 
by MANTA (2014-05-25 17:20) 
 
posted by ichijin at 12:01| Comment(6) | TrackBack(1) | 懐疑批判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちわ。
当ブログへのご批判・ご意見、ありがとうございます。
当方のブログ内容を「チェリーピッキング」であると貴殿は繰り返し取り上げて批判されているようにお見受けします。ただ残念ながら当ブログの内容をちゃんと理解されていないようにお見受けいたします。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-03-06

当ブログの一部分を取り上げて批判する方法こそ、まさにチェリーピッキングと考えますがいかがでしょうか?

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とはいえ以前、貴殿のコメントやTBを削除してしまったことには心を痛めておりました。改めまして、どうぞ当ブログをご自由にご批判下さい。
全てのコメント欄への書き込み・TBを貴殿に対して許可しています。
詳細は下記を御覧ください。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-24
Posted by manta at 2014年05月25日 10:58
無内容でただの言い返し的なコメントを繰り返すのではなく、こちらの指摘・批判内容が何をどのように理解できていないものになっているのか、また何を考慮に入れていないからチェリーピッキングになっているのかなど、何か一つでも内容に踏み込んだ反論なりをしてみては?
>当ブログの内容をちゃんと理解されていない
>当ブログの一部分を取り上げて批判する方法こそ、まさにチェリーピッキングと考えます・・・
Posted by ichijin at 2014年05月25日 13:26
はい、議論させて頂ければ幸いです。
ただここは当ブログの引用サイトにすぎません。
どうぞ当ブログへお越しください。
Posted by manta at 2014年05月25日 14:28
では、こちらの指摘は既に上記に示してもいるので、一先ずトラックバックだけしておくこととする。
Posted by ichjin at 2014年05月25日 15:40
トラックバック、ありがとうございます。
ただトラックバックだけではご批判の意図は分かりかねます。
ぜひコメントをお寄せ下さい (^^)
議論はオープンです。
Posted by manta at 2014年05月25日 16:56
こちらの指摘のどの点がどう分からない?
>ただトラックバックだけではご批判の意図は分かりかねます。ぜひコメントをお寄せ下さい (^^)
Posted by ichjin at 2014年05月26日 00:02
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CO2はどこから来たか?CO2に聞けば良い
Excerpt: 前回の本連載「地球温暖化を学ぼう」では、大気中のCO2の増加は人為的なCO2排出と 密接な関係があると書いた。 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-03-06..
Weblog: 海の研究者
Tracked: 2014-03-13 18:48